CHECK POINT
オフィス移転のためのチェックポイント
COST
コスト
まずはオフィス移転にいくら必要なのか計算を!
オフィスを移転する前に担当者が知っておきたい移転の流れとチェックしたいポイントを分かりやすくご紹介しています。移転にともなう手続きなどの業務もタイムスケジュールに添って詳しく説明しています。チェックリストの項目を確認しながら移転の準備を進めていただき、ぜひオフィス移転を成功させてください。
FLOW
オフィス移転の流れ
STEP
01
移転計画の立案~
新オフィスの選定
オフィス仲介業者を選ぶ
オフィス移転に関する業務をスムーズに進めるためには、物件やオフィス賃料相場などの情報収集が不可欠です。それらの情報や仲介実績が豊富な不動産仲介業者を選ぶには、宅地建物取引業免許番号を確認することをおすすめします。免許は2種類あり、事業展開の規模などを確認することができます。
- 国土交通大臣免許:2カ所以上の都道府県に宅地建物取引業を営む事務所を設置して業務をおこなっている場合に必要な免許
- 都道府県知事免許:ひとつの都道府県に宅地建物取引業を営む事務所を設置して業務をおこなっている場合に必要な免許
また、免許の有効期限は5年間(平成7年4月以前は3年間)となっており、国土交通大臣(10)、都道府県知事(10)それぞれ( )内の数字が更新回数を表しています。
移転計画の立案
オフィスを移転するにあたり、まずは現在入居しているオフィスの状況を把握したうえで、移転の目的や新しいオフィスに求める条件を明確にすることが必要です。
移転目的の例
- 経営戦略
- 働き方改革(テレワークの導入、シェアオフィスの活用)
- 人材確保
- 分散オフィスの統合
- オフィスコストの見直し
- オフィス環境の改善
- BCP対応
- ESGへの取り組み
現オフィスの契約内容の
確認普通借家契約の場合は一般的に契約終了の6カ月前までに解約通知を提出します。契約期間内に解約する場合は解約料(違約金)が発生することがあります。定期借家契約の場合は契約期間の満了を以て契約が終了するため、契約期間内の解約は違約金が発生します。契約形態に関わらず、現オフィスの契約書の内容を確認することが大切です。
現オフィスの原状回復の
見積等オフィスを退去する際は、借主が貸室内を入居時の状態に戻す義務(=原状回復義務)があります。原状回復の内容や引き渡し期限、工事費用、指定業者の有無などを確認しましょう。
新オフィスの選定
新オフィスの物件選定にあたっては、移転目的を再確認するとともに、現オフィスでの問題点等を把握したうえで、新しいオフィスで必要な面積や設備、その他の条件をまとめていきましょう。
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1)賃料相場や物件情報の収集
物件選定にあたっては、オフィス賃料の相場の把握と物件情報の収集が重要です。賃料相場を目安として候補地を決めたり、提示された賃料が適正か否かを判断することができ、候補物件の選定がスムーズになります。物件情報も非公開情報や新築ビル、竣工予定ビルなどの募集情報を入手できるオフィス仲介専門業者に依頼することをおすすめします。
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2)必要な面積を算出する
執務室、会議室、応接室、社員の休憩スペース等について、現オフィスの状況を確認し、将来的な増員計画なども含めたうえで、新しいオフィスで必要となる面積を算出しましょう。テレワークやフリーアドレス、ABW(=Activity Based Working)など、新しい働き方の継続や導入を検討している場合は、それらも考慮して面積を算出したほうがよいでしょう。
参考1人あたりの面積の目安は およそ10㎡(3坪)JFMAベンチマークデータやNOPAのオフィス実態調査によると1人あたりの適正面積はおよそ10㎡(3坪)ですが、オフィスの使用形態などによっては適正面積が異なります。生産効率やコスト面、ワーカーの快適性なども考慮したうえで、適正な面積を算出しましょう。
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3)立地
- 最寄り駅からの所要時間
- 社員の通勤利便性
- 銀行、郵便局、公共機関までの距離
- 飲食店やコンビニなどの利便施設
- 地震・洪水等による地域安全性の確認(ハザードマップなど)
- 取引先や他の拠点へのアクセス
- 夜間の安全性(周辺の治安)
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4)貸室・共用部
- 室内の形状(柱の有無、位置など)
- 天井高
- 床荷重
- 採光・遮光・眺望
- 共用部の管理や清掃状況
- トイレ・洗面台の数、清潔さ
- 喫煙スペース、自動販売機、リフレッシュスペース
- エレベーターの数
- アスベスト使用の調査記録の有無
- 騒音・振動
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5)設備・管理・他
- 電気(受電方式)、コンセント容量
- 空調ゾーニング、空調コアタイムの時間・時間外費用
- インフラ(電話回線数、光ケーブル引き込み状況など)
- 照明(LED)
- OAフロア
- セキュリティ
- 駐車場(機械・平面、台数、サイズ・重量制限、入出庫時間)
- 身障者対応設備の有無(バリアフリートイレ、スロープ設置など)
- 管理会社
- 管理体制(有人か無人かなど)
- 入退館時間制限(エントランス開閉時間、時間外入館方法、休館日など)
- 避難安全検証法の確認
- 他の入居テナント状況
- 貸会議室(建物内、近隣での有無)
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6)BCP対応
- 耐震基準(免震、制振、耐震補強工事の有無)
- 非常用発電設備、電力供給方法など
- 災害時備蓄品(建物全体としての備蓄の有無)
- 津波、洪水、土砂、高潮災害などに対するリスクと安全性(ハザードマップの確認)
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7)コスト
ランニングコスト
- 賃料、共益費
- 水道光熱費
- 清掃費(ゴミ処理費)
- 空調費(時間外空調費の有無)
- 交通費
イニシャルコスト
- 預託金(保証金、敷金)
- 礼金、償却費、更新料
- 保証委託料(保証会社利用時)
- 火災保険等の費用
- 内装工事費用
- 什器備品費用
- 引越し費用
- 旧オフィスの原状回復費用
- 仲介手数料
候補物件の絞り込み
新オフィスの選定要件に沿って候補物件の絞り込みをおこないます。それぞれの物件に対して仮のレイアウトを作成するなどして比較検証します。
- 立地の比較
- 貸室・共用部の比較
- 設備・管理面の比較
- BCP対応の比較
- コストの比較
諸条件の確認と交渉
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1)契約開始日
入居工事の開始日と現オフィスの原状回復工事期間、解約日、また移転後の営業開始日(移転日)を考えたうえで契約開始日を設定します。
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2)賃貸条件
月額の賃料、共益費だけでなく、起算日も確認します。
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3)契約形態
普通借家契約か定期借家契約か確認します。普通借家契約は期間満了後の更新がありますが、定期借家契約は期間満了によって契約が終了し、契約の更新はありません。(再契約の特約は有効です)
STEP
02
借室申込書の提出~
契約締結
借室申込書の提出
候補ビルの貸主に対して、借主の会社概要や賃貸借条件、要望事項などを記した書面に会社案内などを添付して提出します。書面に記載する賃貸条件や要望事項は慎重に検討し、納得した内容を記載しましょう。また、貸主によっては保証会社や連帯保証を求められるケースもあります。
契約書の確認
賃貸借契約書に限らず、条文に記載されている書面(館内細則・工事区分表・貸方基準書・原状回復基準書など)の内容は全て確認しましょう。
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契約面積
契約面積は「専有部分」のみか「共用部分」を含むかどうか、賃料などの計算の単位が「坪」か「㎡」かも確認しましょう。
※専有部分:テナントが専用で使用できる面積(壁芯計算)
※共用部分:エレベーターホール、トイレ、給湯室など共用で使う部分 -
契約形態
契約形態は「普通借家契約」か「定期借家契約」かを確認しましょう。
※定期借家契約の場合は原則として、中途解約ができないため注意が必要です。 -
預託金(保証金・敷金)
預託金(保証金・敷金)は通常、契約締結日までに貸主に預け入れます。契約期間中の賃料の変動によって増減するかどうか、また、退去した際の預託金の返還時期や返還額について確認する。償却費がある場合はその条件も確認が必要です。
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賃料・共益費
賃料・共益費の起算日を確認することはもちろん、普通借家契約の場合は契約更新時や契約期間内での改定についての内容を確認しましょう。また、契約更新時に更新料が発生するかどうかも確認しましょう。
※定期借家契約は契約期間内の賃料増減はできないと定めているケースが多いため注意が必要です。 -
解約予告
普通借家契約は通常、期間満了の6カ月前までに書面で通知するものですが、契約期間内の解約について明記されている場合は中途解約の条件を確認しましょう。契約開始日前の解約についての条文があれば、その場合の違約金についても確認しておきましょう。
※定期借家契約は中途解約ができないケースが多いため、さらに念入りな確認が必要です。 -
原状回復
契約が終了し、退去する際は借主が貸室内を入居時の状態に戻す義務(=原状回復義務)があります。解約時のトラブルを避けるためにも、原状回復の範囲や期限、工事費用の負担、指定業者の有無などはこの時点でしっかり確認しておきましょう。
-
館内細則
館内細則に記載されている内容(管理体制や届出)を確認しましょう。
新オフィスの契約締結
重要事項の説明を受けた後、契約を締結します。契約締結時は以下のものが必要です。また、預託金の預け入れや前払い賃料、共益費の振り込み、仲介手数料の支払いも忘れずに手配します。
- 印鑑証明、実印
- 登記簿謄本または抄本
- 保証人の住民票、印鑑証明
現オフィスの解約予告通知
移転先が決定したら、現オフィスの契約書に基づいて解約手続きをおこないます。通常は原状回復工事期間も含め、契約終了の6カ月前までに貸主に対して書面で通知します。中途解約になる場合は解約予告期間に相当する賃料などを支払わなければなりません。余分なコストが発生しないよう、日程はしっかり調整しましょう。
現オフィスの原状回復工事
の手配現オフィスの原状回復基準書などを事前に確認しましょう。
STEP
03
新オフィスの
レイアウト設計~引越し
新オフィスのレイアウト設計
オフィス移転はオフィスの問題点を解決できる絶好の機会です。STEP1で設定した「移転の目的」を達成できるように設計することはもちろんですが、それぞれの業務内容や効率、コミュニケーションなども意識した快適なオフィス環境を作ることも大切です。
基本レイアウト
新オフィスの平面図に執務室(デスク、キャビネット、プリンターなどを配置)、会議室、応接室、休憩スペースなど必要なスペースを大まかに配置したうえで、動線や照明、空調の位置を決めていきます。(照明や空調が固定されている場合は、それらの位置から配置を決めたほうがよいでしょう。)近年はフリーアドレスの採用やWeb会議に対応した個別ブース、災害時の防災用品を備蓄するスペースなどを設ける企業が少なくないようです。
各業者の選定と発注
新オフィスのレイアウトや内装、什器備品、各種工事、引越し作業などを依頼する業者を選定し、発注をおこないます。それぞれの作業を個別の業者に依頼するのか、すべての作業をワンストップでおこなえる業者に依頼するのかでコストも時間も異なります。コストも重要ですが、作業や工事内容、スケジュール、フォロー体制なども比較してニーズにあった業者を選定することが重要です。
- 工事区分表の確認
引越し事前準備
- 社内説明会の実施(引越しマニュアル)
- 梱包材支給
- 荷物整理と貴重品等の管理
- OA機器についてシステム担当との連携
- 当日の搬出入経路確認
- 搬出入経路の養生(エレベーター、ドア付近など)
- 引越し車両の駐車スペース
引越し
あらかじめ貸主と相談し、確認したうえで引越し日を決定しましょう。
関係官庁への届出
オフィス移転後は関係官庁への届出が必要です。参考にして期限内に確実に完了させましょう。
その他の手配・準備
オフィス移転に合わせて事前の手配や準備が必要なものをまとめました。発注から納品まで時間を要するものもあります。スケジュールに余裕をもって手配しましょう。
- 新オフィスの鍵、セキュリティカード追加発注の有無
- インフラ移設(電話、FAX、インターネット)
- OA機器移設(パソコン、プリンターなど)
- 名刺
- 封筒、ファイル、会社案内・カタログなどの販促物
- 各種帳票
- 社判、ゴム印
- ホームページ、Web広告
- 社員証明書
- 通勤定期
- 移転挨拶状作成・発送、プレスリリースなど
- 取引先(金融関係、加入団体、定期的に支払いが生じている業者など)への連絡
MERIT
オフィス移転のメリット
MERIT
01
企業のオフィスブランディング
に期待される効果
オフィスに自社の価値観やコンセプトといったブランディングイメージを表現することは、ブランド力の向上に繋がります。ブランド力が高まれば、その企業に好意や共感を持つ顧客が増え、長期的な目線で見ると売上や収益アップに繋がると言えます。また、ブランディングは対外的な効果だけでなく、オフィスで働く従業員への好影響も期待できます。例えば、オフィスで自分が働く企業の価値や経営理念への理解を深めることができれば、自社に対する愛着や忠誠心が増し、従業員同士の連帯感が強化され、それは組織全体のパフォーマンスの向上に繋がるでしょう。一人ひとりが活き活きと働く魅力的な企業は、優秀な人材の確保といった面でも強みを発揮できるかもしれません。
MERIT
02
業務効率の改善を実現できる
オフィスが狭く、個々の業務スペースが確保されていない、執務室内の動線が悪い、空調温度が適切に保たれていない、照明が暗い、周囲の雑音が気になって集中できない、などの問題があるオフィスは従業員がストレスを感じ、業務効率の低下に繋がってしまいます。これらの問題を解決できるオフィスへ移転することで従業員が快適に働ける環境をつくることができます。これからのオフィスは従業員の健康保持や増進を戦略的に進める「生産性の高い場」であることが求められています。適切な面積が確保できれば、リフレッシュスペースやミーティングルーム、集中ブースを設けることも可能です。一人ひとりがオフィス環境によるストレスを感じることなく、心身を健やかに保つことができれば、仕事への意欲も増し、最大限のパフォーマンスを発揮できるでしょう。